昔の話でも その5
森はまえから陸軍の出先の連中と親密でしたが、さきの中国視察旅行のさい、陸軍省にいたすずきていいちいしはらかんじこうもとだいさく鈴木頁一と親しくなり、さらに鈴木を通じて石原莞爾や河本大作と親しくなりました。
鈴木・石原・河本といった連中は、当時佐官級の中堅将校でしたが、すでに陸軍の首脳部の「優柔不断」を批判し、日本の革新を考える急進的な派閥の中心人物になりつつありました。
河本が張作森暗殺の立役者であり、石原が満州事変の演出者であることはあとでみるとおりです。
森は早くからこういう軍部の右翼革新派と気脈を通じており、その線にそって田中をひきずったわけです。
田中外交が侵略的・ファッショ的な性格を強くもっていた背景に、こういう事情のあったことは見落としてはならないでしょう。